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「それじゃあ、オレは車両点検をしておくから、アクアは明日の為の星の雫を取って来てくれないか?」
「らじゃーっ!」
元気よく返事をしたアクアは袋を持って走り出す。
向かったのは山を切り拓いて出来たような崖。
崖には人がすれ違い出来る程の細い足場が崖上へと伸びており、何人かの大人達がアクアと同じように袋を持って登っていた。
アクアもその足場を元気よく駆け上がる。
すると、登っていた人達がそっと足場の端へ寄り、アクアに道を譲っていた。
頂上に着くと「おー、アクア!星の雫の収集か?」と係員に声をかけられた。
「うん!取ってもいいよね?」
「気をつけろよ?何度も言うが自由に飛べるのはお前だけなんだぞ。何かあっても助けられないんだからな」
「らじゃっ!」
ニコッと笑いながら返事をするとそこから昇降機、いわゆるエレベーターで更に上へ向かう。
最上階には大きな足場が広がっており、一面にキラキラとした結晶が宙に漂っていた。
この結晶が『星の雫』
細かい結晶が宙に漂ってはいるが、体の中に入っても悪影響は無い物だ。
アクアの他にも何人か人がおり、袋を広げて結晶を採取している。
しかし、アクアはそこでは結晶の採取はせずに、足場の端へと勢いよく走り出す。
そして、そのまま足場の外へと飛び出していった。
アクアは「それっ!」と前へ向かって手を振る。
すると星形の足場が現れ、その上に片足で着地した。
そして次々と足場を出し、それを乗り継ぎながら宙を舞っていく。
時たま空中で縦にクルンと回ってみたり、フィギュアスケートのように横に2回転、3回転してみたりとご機嫌に空を舞うアクア。
袋を広げて結晶化した星の雫を集めつつ、星形の足場を作って宙を舞うその姿はまるで宙を舞う天使のようだった。
星の雫を集めに来た人達もそんなアクアの姿に思わず目を奪われてしまう。
実は、道を譲ってくれた人達はアクアが空を舞うのを見るのを楽しみにしている人達が殆どだったりするとか。
袋がいっぱいになると、袋の口を閉め、さっきまで出していた足場よりちょっと大きめの星を出してその上に乗る。
さっきまでの足場と違い、アクアが乗ると小さな星の粒子を出しながらゆっくり地上へと向かって行く…。
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