すれ違い

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「じゃあ、お疲れ様ー」 駅で反対のホームに行く隼人と別れた。 別れた途端、大和は健の手をギュッと握る。 「ちょっ、こんな人混みで、やめてよ」 健が睨むと「ダメ」と睨み返された。 「健は俺のだって周りにアピールしないと」 急に名前を呼び捨てにされてドキンと胸が鳴った。 「そっちこそ…今朝、男の人と寝てたよね」 「あ、あの人は、ただの先輩で!俺が酔いつぶれたから送ってくれて」 「ふうん。裸で寝てたけど?」 「いや、それは知らないよ!暑かったんじゃないの?だいたいあんなオッサン何の興味も無いし!」 「どうだか…」 喧嘩しているのに、身体は密着してくる。 大和の温もりを感じて、健は心の底から安心した。 「けど、約束破ってホントにごめん」 大和は頭を下げた。 「そう?まだ今日終わってないし、このまま大和さんの部屋に泊まれば、二日過ごしたことになるんじゃないの?」 健は、シラッと言う。 「と、泊まってくれるの?」 大和は、嬉しそうに健の手を更に強く握る。 この間まで一緒に暮らしていたのに、泊まる事が何だか特別に感じる。 「いいよ…」 電車に揺られるフリで大和の腕に凭れて言った。
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