120人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃあ、お疲れ様ー」
駅で反対のホームに行く隼人と別れた。
別れた途端、大和は健の手をギュッと握る。
「ちょっ、こんな人混みで、やめてよ」
健が睨むと「ダメ」と睨み返された。
「健は俺のだって周りにアピールしないと」
急に名前を呼び捨てにされてドキンと胸が鳴った。
「そっちこそ…今朝、男の人と寝てたよね」
「あ、あの人は、ただの先輩で!俺が酔いつぶれたから送ってくれて」
「ふうん。裸で寝てたけど?」
「いや、それは知らないよ!暑かったんじゃないの?だいたいあんなオッサン何の興味も無いし!」
「どうだか…」
喧嘩しているのに、身体は密着してくる。
大和の温もりを感じて、健は心の底から安心した。
「けど、約束破ってホントにごめん」
大和は頭を下げた。
「そう?まだ今日終わってないし、このまま大和さんの部屋に泊まれば、二日過ごしたことになるんじゃないの?」
健は、シラッと言う。
「と、泊まってくれるの?」
大和は、嬉しそうに健の手を更に強く握る。
この間まで一緒に暮らしていたのに、泊まる事が何だか特別に感じる。
「いいよ…」
電車に揺られるフリで大和の腕に凭れて言った。
最初のコメントを投稿しよう!