愛しい人

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愛しい人

部屋に戻ると23時を回っていた。 「ギリ今日だね」 そう言って靴を脱ぐと、キュッと抱きしめられる。 「あー、今日1日勿体ないことした…。もう、酒やめようかな」 大和はそう言って、健の身体を確かめるようになで、唇を合わせてきた。 深く舌を絡ませる息が苦しいほどのキス。 愛されていることを実感し、健は幸せな気持ちになる。 「もう、俺のこと呆れて嫌いになっちゃったかと思ったよ…」 唇を離して、大和は情けない顔になった。 「正直、朝は、ちょっと嫌いになった」 健が言うと「ほんと、ごめん、ごめんね」と大和は、煩いくらいに謝ってくる。 いつもの大和だ。 「ね、さっきさ」 大和が少しニヤニヤしながら言った。 「ん?」 「俺のスーツ姿めちゃくちゃカッコイイって言ってくれたよね?あれホント?」 「あーー」 健は、勢いに任せて言ったことを思い出し、恥ずかしくなった。 「ね、あとさ、付き合ってるってハッキリ言ってくれたよね?あれもホント?」 ねえ、ねえ、と何度も言われて「あー、もうホントホント。ホントの本気」 と答える。 「あ、面倒くさそうに言ってる!これは、お仕置しないとなー」 「な、なんだよ、お仕置って」 健が焦って言うと、畳の上に押し倒された。 「だから、重いって…」 また潰されそうになって呻くと「今夜は、寝かさないから」と宣言されてしまった。
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