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って・・・・
『・・・・な、、ナオフミ・・・・さん?!』
入り口のドアを見ていたあたしは慌ててナオフミさんのほうへ振り返った。
目、開いてる
しかも、呆れ顔・・・
でも、さっき福本さんが“ごめんなさい、こんなことになって・・・”って言ってた
やっぱり夢?
それとも、もしかして
ダイスキが1個足りなかったから、お化けになって戻って来た?
ガバッ!!!!!
「な、何だ?!」
『足、ある・・・・本物?』
ギュッ!!!!!
「イタッ!!!!」
『つねったら痛いって言った・・・・・この足本物。もしかして、本当に生きてる?』
つい強くつねったせいで、顔を歪めながら上体を起こしたナオフミさん。
動いた
起き上がった
生きてる
多分、生きてる
息もしてる・・・・・
「勝手に幽霊にするなよ・・・・」
『・・・だって福本さんがさっき“ごめんなさい、、こんなことになって”って、そう言って』
緊張の糸が緩んだこともあって自分の目からどっと溢れ出てきた涙。
彼は苦笑いしながらそれを彼の親指でそっと拭ってくれた。
「ハメられたんだ・・・福本さんに。」
『えっ?だって、秘書の片平さんからも“日詠先生が・・・”って電話が・・・』
「ったく・・・・片平さんもこういうのに乗っちゃうんだな。俺も知らなかったよ。真面目な片平さんが福本さんの片棒を担ぐことする・・・とか。」
ナオフミさんはもう一度私の頬にこぼれた涙を拭ってくれた。
口を小さくへの字にしながら。
ナオフミさんの表情とか言葉から
彼自身も事情を知らないのか少々驚いているようだと感じられた。
それでもなんで彼が特別個室のベッドに寝ていたのかは不思議なままだけど・・・
『でも・・・よかった・・・』
「よかった?」
『ナオフミさんが・・・生きていて・・・・』
今度は安堵の涙が溢れた。
「バカだな。死なない。俺は。」
『だって・・・』
「親父にも怒られるだろ?伶菜をひとりにするなって。」
お父さんみたいな運命を辿ってしまったかもしれない
そう思ってしまった
お父さんがナオフミさんまで連れて行ってしまうなんてこと
しないよね?
そうだよね?お父さん・・・
『・・・ふえっ・・』
「泣かせるつもりとかなかったのにな・・」
全身の力が一気に抜け、また流れた安堵の涙。
俯きながら今度は自分でその涙を拭った瞬間、
頭の上に何かがふわりと被さる感覚がした。
すぐさま涙を拭って目を覆っていた手を外し、瞬きをした私。
『コレ・・・・・』
「まだ、渡してなかったから・・・」
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