【Reina's eye:クリスマスイヴは突然に・・・】

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彼がニヤリと意地悪な笑みを浮かべた直後。 彼は私の体から腕を外し、私に背を向け、すぐ傍にあった屋上を取り囲んでいる少し錆びた白色の柵を両手で持って空を見上げた。 『秘密って・・・そんなぁ・・教えて。』 「無理。人格、疑われるから。」 『疑わないから!!!!!』 「天国で再会したら教えてやるよ。」 彼が振り向きざまにも見せた意地悪な笑みのせいで 自分のココロの中にも意地悪な心が芽生えた。 『再会できなかったらどうするの?天国で森村先生に焼肉屋行こうって誘われたら、私、そっち行っちゃうかも。』 「・・・焼肉で釣られるのか?」 『だってスキだもん。牛タン。』 意地悪な笑みはすっかり影を潜め、ややひんやりと冷たい視線が自分のほうへ近付く。 「森村は?」 『・・・す、スキ。秘密とかなさそうだもん。森村先生は。』 「へぇ~、スキなんだな。森村のこと。」 ただ、やきもちを妬かせたいという意地悪心で強気発言をしただけなのに やきもちなんてカワイイものじゃなさそうな気がする 『そ・・そうだよ。』 「ふ~ん。そうか。」 そう言いながら更に私に近付くナオフミさん。 さっきまで彼が手をかけていた柵に私が追い込まれる事態に。 「そうか、そうか。今日の俺はどっか頭のネジ、飛んでるってこと、お忘れなようで。」 『えっ?・・・・うわっ!!!!!』 ナオフミさんにやきもちを妬かせようって自分から仕掛けるなんて、まだまだ無謀なことだってことを理解していなかった私。 「今日の花嫁さんはお仕置きが必要なようで。」 『まさか・・・』 「そのまさかだよ。」 『キャッ!!!!!』 抵抗する隙も与えられないまま 彼のバランスよく筋肉がついている腕に抱きかかえられていた。 「さて、そろそろ行くか。」 『あたし、重いんじゃ・・』 「伶菜はもっとたくさん食べなきゃな。」 彼はその格好のまま、屋上に広がる青空に背を向けて、 体勢を一切グラつかせることなく階段を下りた。 そのまま迷うことなく患者さんも利用するエレベーターへ。 運良く、誰も乗ってこなくてホッとする私。 安堵し余裕が出たこともあり、さすがにずっと私を抱きかかえたままだとしんどいんじゃ・・とつい彼の顔を見上げると、 「こんな日が来るなんてな~。感無量だ。」 今度は満面の笑み。 本当に嬉しそうだけど 彼をこんなにも感無量な面持ちにさせていることって何だろう? 『えっ、何の日?』 「伶菜は俺のものですって・・・産科だけでなく、この病院内で胸張って言える日。」
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