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どうしようかとこっそり悩んだ末
『日詠部長、ダメですよ。こんなところでとか。誰に見られているかわかりませんから。』
これから部長になる彼の理性に働きかけることに。
「・・・・・」
さっきまでの挑発的な目をした彼とは別人のような・・餌を目の前でおあずけ状態にされているわんこのように何かをおねだりするような瞳。
こんな彼にも免疫がない私は頭の中がパニック状態に。
彼の理性とやらに働きかけるのがダメなら、ウチになんとか帰る方法をと考えた結果。
『ケーキの生クリームが余ったら、ナオフミさんのスキにさせてあげる。』
つい余計なことを口にしてしまった私に
ナオフミさんの瞳にキラリと光が宿った。
「帰る、もう帰る。」
『そ、そうだよね。』
とりあえずここでのやりたい放題は阻止できそう
だけど、彼の目が光り続けているのがすごく気になる・・・
「スーパーに寄って生クリーム買ってから帰るし。」
『・・・・生クリーム、あるよ。ケーキ1ホール分作るぐらいなら。』
料理が得意なナオフミさんだから
ケーキだけじゃなく、他の料理も作ってくれるかもと逆に期待
生クリームを使う料理って何があったっけ?
オムレツに入れる牛乳とかを生クリームにすると
これまた絶品らしいしね
密かに楽しみ
学生時代、イタリア料理店でアルバイトしていたこともあって
彼の作る料理、本当に美味しいんだもん
早くウチに帰りたいなぁ~
その前にスーパーに寄らなきゃね!
「足りない。伶菜と味わうのには全然足りない。」
『わ、わたし?!』
「ケーキ食べるだけじゃ、足りない。」
ケーキ食べるだけじゃ、全然足りないって
しかも、生クリームを私と味わうって
ふたりきりで?!
それってもしかして
生クリームを
私のあそことか、あんなとこにも落とされて、
それをナオフミさんが?!
ちょ、ちょっと待って
それって・・・・
『ひゃ、エッチ!』
頭から湯気が出そうなくらいドギマギした私は
彼の腕の中から飛び出し、そのまま後ずさり。
でも、背中にヒンヤリとした壁の冷たさを感じ、逃げ場を失った。
「エッチって・・・お前のほうが家まで持たなさそうだな。」
『だって・・・』
「そうだよな?持たないよな?・・・・そうかそうか。」
彼はイジワルな笑みを浮かべながら、逃げ場がなくなった私のほうへじりじり近付き、そしてとうとう手首を掴んだ。
「それじゃ、今すぐに何とかしてやらないとな。なんていったって、今日はクリスマスイヴだしな。」
彼はそれだけに留まらず、“何とかってどうなるの?”と問いかける隙も私に与えることなく、掴んだままでいる私の手首を強く引いた。
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