第3話 浮気男と冬のバラード

31/35
前へ
/83ページ
次へ
「茜……」 「ううん、苦しまなくていいなんて無理だよね。苦しんでもいい。でもそれは一人ですることじゃないわ。私も一緒に苦しむから。私も一緒に友貴人の病気と闘うから。だからもう、私の側から離れちゃダメよ———」 男泣きに泣いている彼の手を握りしめて、私はその手の温かさを感じ取る。 大丈夫だ。 彼は手はもう、緊張と不安で震えたりなんかしていないから。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加