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「なぁ、健人。俺もイきたい。いきなりお前に突っ込もうなんて思わねぇけど、ケツ貸して」
「へぁっ……?」
稜が健人の恥骨に触れた。達したばかりの身体は少し稜に触れられただけでもビクッと素直に反応してしまう。全身が性感帯になってしまったみたいだ。
稜の手で身体を反転させられる。うつ伏せになり、さらには腰の辺りをグイッと引っ張られ、稜に向けて尻を突き出すような格好にさせられる。
稜は既に昂った自分のモノを健人の両脚の間に挟み込む。そこにヌルっとした感触があるのはさっき健人が稜の手に放った精液のようだ。
稜は自らの手も使いながら、健人の股に擦り付けるようにして腰を動かし始めた。
「はぁっ……はぁ……んっ」
稜から漏れる息の音が健人の耳をくすぐる。やばい。やばすぎる。稜のこんなよがり声を初めて聞いた。
繋がってはいないけど、まるで繋がっているみたいだ。稜に犯されている感覚に陥ってしまう。
「くっ……! ああっ……」
稜が身体を震わせる。稜は達するときに健人を汚さないよう放ったものを自らの手で受け止めていたが、それでも健人の身体に飛び散った。
稜は素早く自分の始末を終えたあと、ベッドに倒れ込んでいた健人の身体を拭いてくれた。そして稜も裸のまま横になり、背中側から健人を抱き締めてきた。少し汗ばんだ稜の身体は温かい。
「やっば。挿れてもねぇのにすぐイッちまった……」
「早漏かよ」
やっと悪態をつく余裕が出てきたものの、さっきまでの行為が恥ずかしすぎて稜の顔まではみられない。
「違う、お前が可愛すぎるからだろ」
稜はさらにぎゅっと健人を抱き締めていた腕に力を込めた。
「やめろよ」
なんだよいまさら恋人みたいに優しくしやがって。
「俺、健人のこともっと好きになったわ」
稜は健人の首筋にチュッと触れるだけのキスをする。
「ざけんなっ!」
なんなんだよ稜は。お前に流された俺は猛烈に後悔してるというのに。
「はぁ、お前最高。大好き」
稜の心は自分にないのはわかりきっている。こんな言葉は上辺だけだ。そうと知っているのになぜか「好き」と言われて嬉しくなっている自分がいる。
——バカだな。何やってんだよ、俺。
身体だけの関係なんて虚しいだけだ。それなのに稜を受け入れてしまった自分自身に呆れてしまう。
稜にイかされて悦んでいる身体と反比例するように、健人の心は深く沈んでいった。
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