23人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
プロローグ。
ーーーミリア視点ーーー
私は、ミリア。
ここリオナ村にて暮らす、何の力もない村娘だ。
ただ、紅葉色に染まった髪の鮮やかな赤は山々に囲まれた秋の季節を彷彿とさせる物であり、村の皆からは美しいと称賛される。
まぁ、称賛されるのは髪の色だけで他の容姿は誉められる事はないのだけれど。
それ以外に特質した物がない私への興味は薄く、何処にでもいる女の子という評価だったと思う。
そんな私は動物が大好きだった。
友達と遊ぶより、森へと出掛け、小動物と戯れる事を愛した……そんな私の行動を村の皆はおかしく思っていたが、子供のする事だからと大めに見てもらえていた。
でも、そんなある日。
私は、家で出された肉料理にある事を気付き始める。
このお肉は一体何なのだろうと――小さい頃は特に考えもしなかった私だけど、物心がつく頃にその肉の正体を知った。
それは、私が愛して止まない動物達の成れの果てだったのだ……その事実を知り、ショックを覚えた私はその日から肉を食べる事を止めて、山へ狩りに出る村人よりも早くに山に出ては動物達を避難しようと試みる。
初めこそ村の人達も笑っていたけれど……私の声は何故か動物達によく届いた。
そして、それはそのまま、狩りの失敗に繋がったのだ。
「まさか、ミリアは巫女なのではないか?」
そんな噂も出るほどに、私の行動に村人達は畏怖し、警戒する。
〝巫女〟とは特別な力を持つ代わりに、災厄を齎すとも言われる存在でもあったからだ。
最初のコメントを投稿しよう!