端緒

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戦争が始まる前の年、1940年2月6日に、私、戸灘(となだ)美都子(みつこ)はこの世に生を受けました。 私の父は任侠で、政龍組の幹部の一人で、本家でもあった家には父の兄弟家族や、舎弟達が住んでいる大所帯でもありました。 私はその家長である戸灘(となだ)蓮一(れんいち)の末の娘として生まれ、蝶よ花よと大切に育てられていました。 この物語は、私が生涯愛した男と、その男に愛された女の話です。 私が生涯愛した男。 まずは飯塚(いいづか)鷹雄(たかお)の話から、いたしましょうね。
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