01.ボクが愛した絵里子

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01.ボクが愛した絵里子

 僕の名前は加藤智樹。大学病院で研修医をしている。 そんな僕には、とっても綺麗な彼女がいる。彼女は僕の後輩研修医で桐谷絵里子。大学時代から付き合っていたので、もうそろそろ付き合って丸2年だ。 僕はもうすぐ研修医を終えて医者になる。だからそろそろ、良いかなーって思って今日のデートで、彼女にプロポーズをするつもりなんだ。 だけど。 駅で13時に待ち合わせをしていたんだけど、急患が入って時間に遅れてしまった。2時間の遅刻だ。 「怒ってるのかな」 待ち合わせに遅れるという連絡を入れた時は返信があったけど、今から向かうよという連絡を入れた時には返信がなかった。 僕は面倒だなぁと思いながらも、走って駅に向かった。 「あれ? どうしたんだろう?」 駅の方がごった返している。野次馬のような人たちで溢れかえっているというか……。その奥が待ち合わせ場所なので、僕は人込みをかき分けて、前に進んだ。 「絵里子!?」 そこには心臓から血を流し、真っ青になった絵里子が救急医によってタンカーに乗せられるところだった。 周りの人の話を聞いたところ、30分ほど前に通り魔が現れ、絵里子を含む数名をめった刺し。犯人はすぐに捕まえられたものの、3人の死者が出た。その3人の死者のうち1人が絵里子だ。 「俺が……急患対応なんてしなければ絵里子は……!!」 俺は何度も自分の行動を悔いた。絵里子ほど、綺麗で気立てが良くて、自分のことを好いてくれる最高の女性はいなかった。こんなに好きになったのは初めてだったのに……。
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