雨の日の告白

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 雨音がやや大人しくなったが、風が轟々となっている。 「ある日、私は思ったのよ。あの人は私の家族を殺すと言うでしょう? じゃあ、私があの人を殺してしまったら万事解決ではないかしらと」  私はそこで僅かに息を飲んだ。まさか懺悔とは殺人の告白なのだろうか。それは、神父でもなんでもない私には荷が重すぎる。それだけじゃない。神父ならば守秘義務があったように思うが、私にはむしろ警察に届け出る義務が生じるのではないか。 「でも、私はカトリック教徒。人を殺めるなど思ってもいけないことだと思ったの」  神山さんの言葉に胸をなでおろした。怪談を聞いているわけでもないのに、心臓が妙に鼓動を早めるし、変な汗まで出てきていた。 「そうして、二十年近く耐えたある日、あの人はあっけなく亡くなったのよ。朝、起こしに行ったら寝たまま動かなくてね、触ったら冷たかった。私は結婚して以来、始めて嬉しくて泣いたわ。罪深いことかもしれないけれど、これで悪魔はいなくなったと泣いたの」  私もちょっと泣きたい気持ちになった。もちろん、神山さんが苦しみから解放されたのも喜ばしいことだが、罪の告白をされずに済んで、本当に安堵した。
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