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美優が凛に言い残した警告。
それを聞いたラブ。
思い当たる敵は、ミゲルしかいない。
盗聴されているはずの電話回線で予定を知らせ、人の居ない場所へ導いた。
「チッ!まぁ…どうであれ、これで終わりだ」
「ミゲル❗️必ず殺す」
双剣をミゲルへ向ける凛。
「気を引こうとしても無駄だ。しかし…まさか伝説の暗殺者が、まだ生きていたとは驚きだ。しかもラブと一緒とはな。」
(クソッ❗️)
必ず守ると約束した凛。
剣先が悔しさと怒りに震える。
1人が銃口を向けて近付く。
「まだ殺すな、ラブが死ぬのを見てからだ」
「ミゲル待て❗️」
凛の声など気にしないミゲル。
「父の仇だ、死ねラブ❗️」
トリガーの指に力が込められる。
そして…
「バシュ❗️」
思わず目を閉じた凛。
その瞬間に、疑念が浮かんだ。
(なぜ…ラブは無抵抗?なぜ隙を?)
敵と知っていて、隙を与えるラブではない。
目を開けた。
「なにっ⁉️」
(どこかで見た様な…デジャヴか?)
頭を撃ち抜かれ、倒れていくミゲル。
横にいた仲間の男の銃が、硝煙を上げている。
「フンッ❗️」
瞬時に、そばにいた男を斬り倒す凛。
「グァ!」…「ダンッ!」
ティークの放ったライフル音が、僅かに遅れて届き、ミゲルを撃った男が倒れた。
「一体何が?」
訳の分からない凛が、ラブを見る。
「終わったわ。もう出て来ていいわよ…美優」
「なぁ〜んだ、やっぱりバレてたか」
ゆっくりと森の中から、死んだはずの佐久本美優が現れた。
「美優⁉️お前死んだんじゃ?」
「凛さん、必ず守るって約束したのになぁ〜全く世話がやけるわ。なぜ生きてるか?なんて聞かないで、私にも分からないんだから」
「しかし…」
「気が付いたら村の人に助けられていて、私はこの森で倒れていたらしいわ」
「龍神は、簡単には死なないってことね」
「美優、その目⁉️」
「何だかおかしなことになってて、右目は未来を、左目は過去を見れて、両目で見るとそれを操れる私の目になるのよ」
その瞳は、多香子と晋也の色をしていた。
言いながら黒いサングラスを掛ける美優。
「あの2人には、もうその力は消えた。龍神となったあなたに戻ったのね」
「そんな感じかな」
「ラブ、あなた美優の力を信じてたから、あんなに平然としてたの?」
「『私が守る』って聞こえたから」
「呆れた人。こっちは…えっ💦」
愚痴を言いかけた凛に、美優が抱き付いた。
「会いたかった…凛」
呟く小さな体を、そっと抱き締める凛。
「生きていて良かった…」
心に残っていた、大きな悲しみが消えた。
「もしもし咲さん。ラブで〜す❣️富士の忍野村でミゲル達に襲撃されて、始末したので後は何とかお願いします」
「ラブさん⁉️、りょ…了解。…始末って?」
「あっ💦…えっと、仕方なく正当防衛ってやつかな💦とにかくよろしく❣️」
(ふぅ〜💧)
携帯を切った。
「さてと、帰りましょう。凛、ジープの運転お願いね」
「了解。美優、多香子と晋也達が待ってるわ」
「ビックリするだろうなぁ…」
チムグクルをテレビで見て、自分の居場所がまだあるのを知っていた。
先にジープに乗り込むラブ。
美優が生きていたことは、心から喜んでいた。
しかし…
(生かされた…と言うことね)
外れたことの無い、嫌な予感がしていた。
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