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その頃。
いきなり現れ、急停車したワゴン車にイラついた凛。
「なんて乱暴なヤツ…ん?」
(クリーニング屋の車にしては…重そうね)
車体がかなり沈んでいることに、違和感と不信感を抱いた凛。
左ハンドルの運転席から降りて、歩道に出る。
その時、ワゴン車のスライドドアが両側とも開き、バズーカ砲が銀行へ向けて突き出された。
その引き金より早く、凛の銃が放たれた。
「バシュ!」
「ガキン!」「ドンッ❗️」
……「ズドーン💥❗️」
向きをそらされたバズーカ弾が、銀行の隣にある立体駐車場の一部を破壊した。
周囲は悲鳴とパニックに陥る。
比嘉、新垣、佐久本の3人はしゃがみ込む。
咄嗟にワゴン車の後輪を両方撃つ凛。
逃げ足を封じた。
ワゴン車から、救急隊員服の武装した男が3人飛び出した途端。
「ダダダダダダ…」
マシンガンの掃射が凛を襲う。
車を盾に身を隠す凛。
(しまった…高級車だったわ💦)
防弾ガラスやボディに、無数の弾痕が付く。
経理の怒る顔が目に浮かんだ。
弾の切間に、反撃に移ろうとした瞬間。
「ダダダダダダ…」
次の男の銃が火を噴く。
(チッ、完璧なプロ集団か…)
弾の入ったマガジン交換時は、次の者がフォローする軍隊並みのフォーメーションである。
しかし、その背後に近付く桐谷を知らない。
「バンバンバン!」「グァッ❗️」
走りながらの桐谷の銃が、1人を倒した。
敵に挟まれ、不利と見たドライバーの男。
車を飛び出すなり、一番近くにいた美優を人質に取った。
「Oй!」
後の2人を呼ぶ。
「逃げて❗️」
桐谷の声に多香子と晋也が反応する。
しかし、美優を気にして少し遅れた晋也。
素早い男に捕まった。
「晋ちゃん⁉️」
立ち止まった多香子。
「多香子、逃げろ❗️」
叫んで多香子の目を見た晋也が固まった。
(…えっ?何で…多香子が⁉️)
多香子を見つめる晋也の脳裏には、別の光景が浮かんでいた。
「動くな、動くと撃つ」
もう1人の拳銃が多香子を狙う。
凛も桐谷も、これでは近付けない。
晋也を捕まえた男が合図し、ゆっくりと銀行へと移動する一団。
(立て篭もられたら面倒ね…)
「凛、2人を撃てる?」
耳の通信機に気付いた桐谷。
「銃が2つあればね。残念」
(中に入られたらマズイ…)
その時。
「ちょっとあなた」
美優が、多香子を狙う男に声をかけた。
「はぁ?」
男が美優を見た。
「バカ、目を逸らすな!」
その隙を逃さず、桐谷が多香子に飛び付き、転がりながら物陰へと隠れた。
男の銃撃を予想したが、それは無かった。
「パンッ!」
男の銃は、美優を人質にしていた男の額を撃ち抜いていた。
「バシュ!」「バン!」
「グッ!」
凛の銃弾が、晋也を捕えた男の頭を貫き、桐谷の銃弾は、立ち尽くす男の銃を弾き飛ばした。
我に返った男。
その横っ面を、走り跳んだ凛の脚が一蹴。
「ヅガッ!」
意識が飛んだ男が倒れる。
桐谷が駆け寄り、後ろ手に手錠をかけた。
「撃たなかったのね」
「必要でしょ。喋れるかは…分かんないけど」
男の顎の骨は粉砕されていた。
救急車を呼ぶ桐谷。
「みんな大丈夫?」
多香子、晋也、美優が集まる。
まだボーっとしている晋也。
美優に目を細める多香子。
「良かった〜。あんた達に何かあったら、ラブに殺されるとこだったわ」
「誰なのこの…沖縄の子達は?」
「ラブがスカウトしたミュージシャンよ。もっとも、目的は違う様だけど…」
「とりあえず、事情聴取のため署で預かるわ」
「了解。私は修理屋に寄らなきゃ、はぁ…💧」
傷だらけの車にため息をつく。
丁度、咲達の車がやって来た。
「シーサー君達、この怖い女は刑事で、警察署の隣がTERRAだから、終わったら来て」
「誰が怖い女よ!失礼な、全く…」
(しかし…なぜこの子達は強盗犯を?)
「あっそうそう、あのリーダーみたいなヤツ、ロシア語を喋ってたわよ。じゃ、よろしく」
「ロシア語を?」
それを伝えて、車へ向かう凛。
(しかし…なぜアイツは仲間を撃った?)
それぞれに疑問を持ちながら別れる、元CIAと元暗殺者であった。
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