【2】崩壊の地へ

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その頃。 いきなり現れ、急停車したワゴン車にイラついた凛。 「なんて乱暴なヤツ…ん?」 (クリーニング屋の車にしては…重そうね) 車体がかなり沈んでいることに、違和感と不信感を抱いた凛。 左ハンドルの運転席から降りて、歩道に出る。 その時、ワゴン車のスライドドアが両側とも開き、バズーカ砲が銀行へ向けて突き出された。 その引き金より早く、凛の銃が放たれた。 「バシュ!」 「ガキン!」「ドンッ❗️」 ……「ズドーン💥❗️」 向きをそらされたバズーカ弾が、銀行の隣にある立体駐車場の一部を破壊した。 周囲は悲鳴とパニックに陥る。 比嘉、新垣、佐久本の3人はしゃがみ込む。 咄嗟にワゴン車の後輪を両方撃つ凛。 逃げ足を封じた。 ワゴン車から、救急隊員服の武装した男が3人飛び出した途端。 「ダダダダダダ…」 マシンガンの掃射が凛を襲う。 車を盾に身を隠す凛。 (しまった…高級車だったわ💦) 防弾ガラスやボディに、無数の弾痕が付く。 経理の怒る顔が目に浮かんだ。 弾の切間に、反撃に移ろうとした瞬間。 「ダダダダダダ…」 次の男の銃が火を噴く。 (チッ、完璧なプロ集団か…) 弾の入ったマガジン交換時は、次の者がフォローする軍隊並みのフォーメーションである。 しかし、その背後に近付く桐谷を知らない。 「バンバンバン!」「グァッ❗️」 走りながらの桐谷の銃が、1人を倒した。 敵に挟まれ、不利と見たドライバーの男。 車を飛び出すなり、一番近くにいた美優を人質に取った。 「Oй!(オイ)」 後の2人を呼ぶ。 「逃げて❗️」 桐谷の声に多香子と晋也が反応する。 しかし、美優を気にして少し遅れた晋也。 素早い男に捕まった。 「晋ちゃん⁉️」 立ち止まった多香子。 「多香子、逃げろ❗️」 叫んで多香子の目を見た晋也が固まった。 (…えっ?何で…多香子が⁉️) 多香子を見つめる晋也の脳裏には、別の光景が浮かんでいた。 「動くな、動くと撃つ」 もう1人の拳銃が多香子を狙う。 凛も桐谷も、これでは近付けない。 晋也を捕まえた男が合図し、ゆっくりと銀行へと移動する一団。 (立て篭もられたら面倒ね…) 「凛、2人を撃てる?」 耳の通信機に気付いた桐谷。 「銃が2つあればね。残念」 (中に入られたらマズイ…) その時。 「ちょっとあなた」 美優が、多香子を狙う男に声をかけた。 「はぁ?」 男が美優を見た。 「バカ、目を逸らすな!」 その隙を逃さず、桐谷が多香子に飛び付き、転がりながら物陰へと隠れた。 男の銃撃を予想したが、それは無かった。 「パンッ!」 男の銃は、美優を人質にしていた男の額を撃ち抜いていた。 「バシュ!」「バン!」 「グッ!」 凛の銃弾が、晋也を捕えた男の頭を貫き、桐谷の銃弾は、立ち尽くす男の銃を弾き飛ばした。 我に返った男。 その横っ面を、走り跳んだ凛の脚が一蹴。 「ヅガッ!」 意識が飛んだ男が倒れる。 桐谷が駆け寄り、後ろ手に手錠をかけた。 「撃たなかったのね」 「必要でしょ。喋れるかは…分かんないけど」 男の顎の骨は粉砕されていた。 救急車を呼ぶ桐谷。 「みんな大丈夫?」 多香子、晋也、美優が集まる。 まだボーっとしている晋也。 美優に目を細める多香子。 「良かった〜。あんた達に何かあったら、ラブに殺されるとこだったわ」 「誰なのこの…沖縄の子達は?」 「ラブがスカウトしたミュージシャンよ。もっとも、目的は違う様だけど…」 「とりあえず、事情聴取のため署で預かるわ」 「了解。私は修理屋に寄らなきゃ、はぁ…💧」 傷だらけの車にため息をつく。 丁度、咲達の車がやって来た。 「シーサー君達、この怖い女は刑事で、警察署の隣がTERRAだから、終わったら来て」 「誰が怖い女よ!失礼な、全く…」 (しかし…なぜこの子達は強盗犯を?) 「あっそうそう、あのリーダーみたいなヤツ、ロシア語を喋ってたわよ。じゃ、よろしく」  「ロシア語を?」 それを伝えて、車へ向かう凛。 (しかし…なぜアイツは仲間を撃った?) それぞれに疑問を持ちながら別れる、元CIAと元暗殺者であった。
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