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〜港区芝浦埠頭〜
物流倉庫や色とりどりのコンテナが並ぶ。
東京港で二番目に建設されたふ頭である。
昴から送られて来た住所から、平和不動産が管理する貸し倉庫近くまで辿り着いた桐谷。
目標の倉庫まで50mとなった時、耳の通信機が入った。
「ストップ!」
聞き覚えのある声に従い、車を停めた。
脇道から出てきた凛が、助手席に乗り込む。
「何で凛がいるのよ?」
「誰かさんの護衛よ。そこ右に入って停めて」
とりあえず言う通りにする。
ラブが派遣したことは聞くまでもない。
『急に呼び出しとは何の用だ?』
凛が録音した会話をPCで流す。
直ぐに橋詰の声だと分かった桐谷。
『サハリン基地が襲撃された様だ』
言葉の抑揚が日本人ではない。
『何⁉️戦艦は無事か?』
『さぁな。戦艦からの通信は途中で途切れた。奪われたか、破壊されたか。いずれにしろ、もう我々のものではない』
『クソッ❗️いったい誰の仕業だ?』
橋詰の苛立ちが、まじまじと伝わってくる。
『確か…将軍が来るとか言っていたが…』
『将軍?誰のことだ?』
『知らねぇよ、俺たちは武器調達の資金を依頼されただけだろうが。』
再生を止めた凛。
「あなたどうやってこれを?」
「元CIAの言うセリフじゃないわね。美月は顔を知られてるから、代わりに私がやったまでのことよ。それより将軍はやはり白だったか〜」
「知ってるの?」
「まぁ…ね。そんなことより美月、奴らはプロの犯罪組織よ。倉庫には重装備の見張りが3人。」
先に着いた凛は、対象となる貸倉庫の周辺を確認していた。
「それ相応の物があるってことね。今ここで騒動を起こしたら、橋詰に気付かれて逃げられるわね」
「その心配は…もういらないかも💦」
既に一騒動を起こした凛。
再生キーを押す。
『あの女刑事は始末したか?』
『ごろつきを雇って、今頃は処置済みだ』
(ごろつき?)
凛の顔を見る桐谷。
「処置済みよ」
心配いらない理由が分かった桐谷。
『4人も殺られたし、もう終わりだな。金は貰うぜ、ミゲル』
『好きにしろ、クソッ❗️』
「ミゲル?」
首を傾げる2人。
『バシュ!バシュ!バシュ!』
サイレンサー付の銃声と崩れ落ちる音。
PCをバッグにしまう凛。
「ここは私に任せて、片付けに警察部隊を呼んで。美月は戻って橋詰確保を。さっきのデータは、今頃アイが本部に送ってるわ。それから…これあげるから、絶対逃がさないでよ!」
小型モニターの地図上を赤い点が動いている。
盗聴器に内蔵したGPS発信機である。
スッと車を出ていく凛。
「全く愛想ないわね、ハイハイ仰せの通りに」
独り言に笑みが浮かぶ。
富士本へ連絡し、本部へと戻る桐谷であった。
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