【6】激闘

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【6】激闘

〜警視庁捜査本部〜 早々に退院した、花山警視総監が訪れている。 警視庁本部は、真っ先に襲撃の的とされ、数発の市街戦用ミサイルが撃ち込まれた。 ビルはほぼ全体的に崩落したが、部下の助けと持ち前の強運で、奇跡的に瓦礫の隙間に入り込み、右腕を骨折したものの助かったのである。 「皆さんあの時は世話になりました。紗夜さん、本当にありがとう」 崩れた瓦礫の中から、自分を助けて埋もれた部下を、必死で助けだそうとしていた花山。 その心のを紗夜が見つけ出し、刑事課と鑑識部全員で救出したのであった。 「部下の方も酷い怪我でしたが、助かって本当に良かったですね」 「亡くなった者が大勢いる中で、生き延びたことをただ喜んではいられない。必ず襲撃犯を捕まえることで、少しでも報いとしたい。皆さんの力を貸してください」 「当然のことです総監。丁度つい先ほど、あるスジから、闇ルートで武器を仕入れている者の情報があり、淳一と戸澤が向かったところです」 あるスジが、いつものヤクザ飛鳥組であることは、敢えて言及しない花山。 「部長、潜伏先と思われる場所の情報が来ました。ここは…世田谷区にある廃業した工場ね」 「戸澤、淳、聞こえたと思うが、通報場所にも近い。罠かもしれんからくれぐれも慎重に」 「了解。今SWAT(スワット)が到着したから、まずは彼らに任せるかな…あ、えっ?何だ⁉️」 「淳、どうしたの?」 「ブウォン❗️ダンッ❗️」 高速で突っ込んで来たバイクが、パトカーを踏み台にして、工場の塀を飛び越えた。 空中で、無数の小さな鉄球を、入り口へと振り撒く。 それらが地に落ちた瞬間。 「ドドーン💥💥ドーン💥」 仕掛けられた地雷が爆発し、突入しかけていたSWATが、盾で身を守る。 その爆音は刑事課の咲たちにも聞こえた。 「淳、戸澤、どうなってんの⁉️」 「やっぱり罠が仕掛けられてたが、バイクが飛び込んで来やがって、地雷を爆破してくれた。誰だか知らねぇが、助かったぜ💦」 ふと、桐谷がいないことに気付く紗夜。 「桐谷さん、今どこですか?」 「もうすぐ現場に着くとこよ。そのバイクって誰なの?」 「てっきり桐谷さんかと…」 「とにかく、ヤツらはプロの殺し屋とテロ集団よ。それを元ロシアの諜報員ミゲル・トルヘフが操ってる。実戦経験のないSWATなんかじゃ歯が立たないわ」 現場に到着した桐谷。 猛撃な銃弾の雨に、SWATも敷地内へ入れないままでいた。 「桐谷、これじゃ近づけねぇ」 「何人いるのかさえまだ不明だ」 「右の建屋に8人、左に7人、中央は…ビシュ❗️これであと6人だ」 通信機に聞き慣れない声が入った。 「ティーク⁉️バイクで突入したのはあなたね」 「ティークって、あのTERRAの用心棒みたいな無口で陰気なやつか?」 「淳!聞こえてるわよ💦」 「……。。。💧」 スパイアイで工場内を透視したティーク。 …結構シャイ。 「ガガガガガ…!」 落ち込んでる暇はない。 設置した機銃が、間にある物を破壊していく。 その弾丸を引き連れて、高速で工場の広い壁を走るティーク。 「何なんだお前は…バケモノか⁉️」  「ダンッ!」 壁を蹴って向きを変え、機銃に向けて走る。 「ガガガガガ、ガガガガガ…」 それへ連射し、薬莢が床に山となる。 「キュンキュンキュンキュン…」 その弾丸をかわし、高速の長剣で斬り弾く。 「ガキューン❗️」 最後は台座毎斬り裂いた。 「誰が陰気な用心棒だと💢❗️」 「そ…そんなこと言って…ヒュン!」 言い終わる前に一閃で斬り捨てた。 既に10人ほどが倒され、残りの5人が塀際の工場右建屋へと逃げ混んだ。 と、その次の瞬間。 「ズガガガァーン💥❗️」 2台の大型トラックが、塀と壁を突き破った。 壁際にいた3人が跳ね飛ばされる。 「ネェちゃん、こっちは任せな❗️」 「その声❗️(じん)っ⁉️」 通信機から咲の声が響いた。 関東の裏社会を束ねる、飛鳥組組長、飛鳥神(あすかじん)。 駆け寄る敵に、更にもう1台が突っ込んだ。 「近藤、好きなだけ暴れろ!」 「了解!いくぜオメェら❗️」 神の右腕の武闘派、近藤義史を先頭に、次々と荷台からなだれ込む手練れの組員。 統制を失った敵が、かなう相手ではない。 その頃、門を突破し、左の建屋へ走る桐谷。 「バババババ…」 窓から機関銃が連射され、フル防弾仕様のボディに当たり跳ね返る。 「ネェちゃん…って、私じゃないわよね💢」 急ブレーキと同時にハンドルを切り、サイドブレーキを踏み込んだ。 スピンする車のドアから飛び出した桐谷。 「バシュバシュバシュ❗️」「グァ!」 一転して仰向けのまま、窓の敵を倒す。 次の敵が銃を構えた時には、もう中にいた。 「ドゥン!」 その額を戸澤のライフルが撃ち抜く。 瞬く間に全てを片付けた。 「はいはい、もう帰んな。ご苦労様でした!」 唖然として見ていたSWAT。 隊長の肩を淳一が叩き、悠々と歩いて行く。 「ほら、土産だ」 ティークが敵の1人を、殺さず捕まえていた。 「近藤、ご苦労だった。車と皆んなを頼む」 「お疲れ様でした、組長!」 一礼して、仲間を連れて出て行く。 「飛鳥神、桐谷よ。今度呼んだら殺すから」 「ヤクザに元CIAか。意外とやるもんだな」 「なんだ、ちゃんと喋れるじゃない」 「……💧」 それ以上、何も言わずにバイクへ向かう。 「咲さん、制圧完了。1人を確補したわ。ヤツはいないけどね」 「良かったわ。それより(じん)!何であなたがそこにいるわけ?」 「ぁあん?咲、何でおまえはここにいねぇんだ?凛に、おまえが危ないって聞いたから、飛んで来たんだぜ」 「凛のヤツ…また余計なことを🔥」 「まぁまぁ💦無事で良かったじゃないか。皆んなご苦労だった。後始末は所轄に任せて、犯人を連行して戻りなさい」 「了解、ボス」 富士本に応え、犯人へ振り向いた戸澤。 「ビシュ❗️」 頭を撃ち抜かれ、倒れる男。 「クソッ、またか!」 「狙撃手よ、皆んな隠れて!」 咄嗟に叫び、車の影に身を隠す桐谷。 「いつでも俺達を殺れたってことかよ。舐めやがって!桐谷、どこからか分かるか?」 鏡を使ってその方向を探す。 (音が聞こえなかった…1000m以上か) 「敵は長距離狙撃用ライフルを使用。建物が多過ぎて特定はとても無理だわ」 「咲さん、犯人は狙撃されちまった。狙撃場所の特定は無理だ。今頃は逃走してるだろう」 (1発で仕留めるとは、なんて腕前だ) 「完全にハメられたわね。仕方ない、罠なら工場を捜索してもムダね。皆んな撤収して」 通信を切り、昴を見る咲。 「交通量も建物も多過ぎて、無理です」 約1000m先。 車でビルを出る、ミゲル・トルヘフがいた。
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