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〜TERRA〜
比嘉と新垣、佐久本の3人は、その能力を人ではなく、映像に映ったモノに向ける訓練を続けていた。
「そうですか…残念です。あなたは最後まで全力を尽くして、使命を全うしてください。それから…ごめんなさい」
「謝らないでください。仕方のないことだし、悔いはありません。ありがとうございました。それから…さようなら」
電話を切る。
頬を伝う涙が、一つ、また一つ落ちていった…。
〜地下秘密基地〜
凛が状況をラブに伝えている。
そこへ3人が入って来た。
「さぁ…きょうも頑張るか❗️」
比嘉がいつもの様に気合いを入れる。
疲れているのは、凛の目でも明らかに分かる。
しかし、もう猶予はない。
「比嘉さんと新垣さんは、生のリアルな映像で能力を発揮できるようになったわね。佐久本さんは、やはりそのモノを目視するか、少なくとも近くにいる必要がある事も分かった」
佐久本が二人が視た世界を変えるには、その目で見る必要があった。
「計測データから、沖縄諸島から鹿児島の火山帯が臨界点に近付いている。いよいよ本番よ。私は佐久本さんを連れて飛ぶから、場所が特定出来たら連絡して。桜島の破局噴火は、何としても回避しないと」
「分かりました」
「了解です!」
「行きます」
正直なところ、こんな若者には酷な使命であり、仕方ないとは言え、気乗りはしない凛。
「じゃあ、アイと風花、ここはよろしく!」
「姉さん任せといて!」
その目を見て、出て行く凛であった。
(強くなったな…沐阳)
「じゃあ多香子、早速だけど現在の桜島の火口の映像から、破局噴火を視てちょうだい。かなりショッキングなものだと思うから、体に異常を感じたら右手のボタンを」
「分かったわ風花、やってみる」
頭には、3人の脳波を分析し、風花が開発した増幅装置を着けた。
心拍や血圧などのバイタル面は、常にアイが監視している。
「晋ちゃんは、多香子の視たものに集中して、干渉しない様に気を付けてね」
「イエッサー!」
晋也も頭に装置を着けた。
集中する多香子。
徐々に脳波が変化し、現在医学ではとても理解できない、未知の波長が強くなっていく。
「グッ…」
多香子の脈拍や血圧が急上昇し、どことは言えない苦痛に、歯を食いしばって耐える。
「そんな…酷い…ダメ、ダメーッ❗️」
瞬時に風花が糖分と軽い鎮静剤を注射し、バイタルの安定を見て、装置を外した。
その直後。
「ウッ…何なんだこれは?グッァ…クソッ!」
初めて見る光景に、一瞬硬直したが、気力でその過去を辿る。
約20秒後。
「こ…これか?…間違いない、これだ❗️」
バイタルが異常値を示す。
(比嘉さん、もう少し頑張ってください。そこはどこですか?)
アイが比嘉の意識に入って囁く。
「こ…ここは…」
視ているものから距離を離して行き、覚えた海図に重ね合わせる。
「ここだ❗️あっ…」
一言叫んで、気を失った。
「アイ、位置を特定してモニターに」
比嘉の意識から、読み取ったマグマ溜まりの位置を映すアイ。
「霧島火山帯のかなり南西寄りね。海底の傾斜によって九州側へ流れ易いけど、ここなら硫黄鳥島か西表島北北東海底火山が近いわね。風間教授、どう思いますか?」
ラブは、帝都大学で火山の研究をしている、風間明教授に、協力を頼んでいた。
「被害は西表海底火山が小さくて済むが、海底の爆破は難しいだろう。規模的にも硫黄鳥島火山の方が大きく、約100年前の大噴火で全島民が久米島に移住し、現在は無人島だ」
「なら決まりね。アイ、沖縄で待機しているアメリカ軍に指示して、爆弾の設置を急いで!終わり次第、誘爆で強制噴火させるわ」
「了解しました」
医療従事者として、2人の容体を診ながら、同時に複数を考え、ムダなく動く風花。
IQ230の頭脳をフル回転させる天才。
TERRAを任せられる1人となっていた。
硫黄鳥島
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