【1】遺恨の地より

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〜ステージ〜 照明が暗くなり、ステージ全体を使って、静かで柔らかなプロジェクションマッピングとメロディが始まる。 今回の演出も、TERRAコーポレーションが引き受けていた。 大きなメインスクリーンに、沖縄にある慰霊塔や慰霊碑が、簡単な解説文と共に次々と映し出され、最後にはその全てが並んだ。 ステージにスポットライトが灯り、宮城が現れる。 騒めきが自然と鎮まっていく会場。 「皆さん、今年もこのフェスにご参加いただき、ありがとうございます。ここに映っているのは、悔やみ悼むべき沖縄の歴史です。しかし!、今は振り返るのではなく未来へ、そして世界へ向けて、皆さんの平和への想いを歌にして届けましょう!記念すべき第10回、沖縄ミュージックフェスティバルの開催を宣言します。皆さんありがとう❗️」 盛大な拍手喝采の中、宮城が消え、1組目のバンドがステージに現れる。 フェスティバルが始まった。 〜楽屋〜 「もうすぐだね」 「多香子、やっぱ…いつもとはちがうわね💦」 さすがの美優も、メンバーの緊張が伝わり、ドキドキして来た。 そこへ、ノックの音がした。 予定より早い音に、ビクッとなる。 「失礼します」 スタッフが顔を出した。 「はい…まだ出番じゃ無いですよね?」 「ええ、TERRAコーポレーションから、花が届いてますので、入り口に飾っておきますね」 「花?」 「何で?」 「寺から?」 「テラって…」 「誰だろ?」 それぞれリアクションは違う。 とりあえず、廊下に出てみて驚いた。 「こんな立派な花を、何で私達に❣️」 「TERRAコーポレーションって❣️」 感動している女子2人。 「確か社長はあのトーイ・ラブよね?」 「ラブ⁉️そ、そうなのか💦」 知らなかった男子3人。 「あのラブが、俺たちを知ってくれてるってことだよな❣️」 「マジか〜💦」 廊下を通る人達が、驚きの顔を見せて行く。 写真まで撮られる始末。 とりあえず、楽屋へ逃げる様に入る皆んな。 ドキドキ💓が止まない。 「スッ…ッゲー❣️。僕らをあのラブが聴いていてくれたんだ!」 「晋ちゃん、花貰ったんだから、さんくらい付けなさいよ」 「あれって…高そうだよな〜」 「健司ったらそこ?」 「そう言えば、スポンサーにTERRAの名前があったわね」 しっかり見ている美優。 「もしかして、来てたりして❣️」 「残念晋ちゃん。今年のゲストに名前はなかったわ。でも、ネットで見てくれてるかもね」 緊張感が増す。 と同時に、やる気も増した。 30分ほどして、ついにその時が来た。 円陣を組む5人。 「行くぜ!」 晋也の声に頷く4人。 「ウチらの歌は❗️『チムグクル❣️』」 気合いを入れてステージへと向かって行った。
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