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助手席に座ったラブ。
「もう自衛隊は長いんですか?」
「いえ、転職してまだ1年の新米です」
「そうですか、前のお仕事は?…あ、あまり立ち入ったことを聞くものじゃないですね、すみません」
「いえ、気にしなくていいです。以前はある会社の営業マンでしたが、自分に合わなくて辞めてしまいました」
「あら?初対面でもこんなに楽に会話ができるのに?」
「初対面の方ばかりを相手にしてましたから、身についた様です、ハハ」
そんな他愛もない話をしながら、15分ほど樹海を抜けた場所に、それはあった。
応急的な柵が設けられ、有毒ガスと立ち入り禁止の看板が立てられている。
「直径約…10mってとこね。水蒸気以外は、二酸化炭素と二酸化硫黄が少しで、硫化水素はなし」
ポータブル計測器を持ち、タブレットPCを見ながら凛が報告する。
「新しい観光スポットになりそうね。まぁ…当面は無理だけど」
(凛、5人と…2人)
ラブが凛の頭に伝えた。
「5人は見えてる。やはり来たわね」
耳の通信機で囁く凛。
岩と大木の裏に、銃を所持した男達がいた。
その殺気を感じ取る2人。
「撃てるか?」
「いつでも撃てます」
「ラブを殺れ!」
その瞬間。
約1km離れた岩から、狙撃用ライフルのスコープを覗く目と、ラブの目が合った。
「な…なに⁉️」
知り得るはずのない距離に驚く男。
そして。
「おい」
背後からの声に慌てて振り向く。
「ビシュ❗️」
認識できたかは定かではない。
ティークの長剣が一閃し、司令塔を失った体が崩れ落ちた。
「どうした?なぜ撃たない⁉️」
「ガシャ!」
地面に落ちた声を、踏み潰す。
「ラブ、こっちは終わった」
耳の通信機に、ティークの報告が届く。
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