【8】決着・そして…

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素知らぬ顔で、ジープに戻るラブ。 「コンコン」 「どうかしましたかぁ〜」 車から出てこない水戸に、助手席の窓ガラスを叩いて声を掛ける。 慌てて出て来る水戸。 「いやぁ…柵の鍵を忘れたみたいです」 一見無防備なラブ。 その距離は20m余り。 凛とラブの距離は30m近い。 ラブが殺気に集中し、凛が腰に付けたグリップを両手に握っていることなど知らない。 「おっと」 水戸が車のキーを落とし、しゃがむ。 「行くぞ❗️」 一斉に5人が現れ、サイレンサー付きの銃が放たれる。 「バシュバシュバシュ…」 超人的な動体視力と反射神経を持つラブにとって、20mは十分遠い。 必要最小限の動きで、命中する弾をかわす。 「なに⁉️」 驚いたところに、人とは思えぬ低さと速さで凛が迫る。 「バカな⁉️」 咄嗟に銃を向けるが… 「シュシュン…シュヴァ!」 「グァアッ❗️」 握ったグリップから伸びた(やいば)が、瞬く間に2人を斬り飛ばし、3人目へ(はし)る。 闇の世界で、最強と恐れられた暗殺者(アサシン)。 双剣の(ハク)傅凛(フーリン)。 ラブからわざと離れながらも、攻撃に足る距離を保っていた。 難なく3人目を切り伏せた時。 「動くな❗️」 水戸が、銃口をラブに向けた。 「クッ…まさか⁉️」 それには気付かなかった凛。 (しまった…) ラブが告げた5人と2人。 2人の内の1人は狙撃手であり、もう1人が水戸であった。 車を挟んで2m足らず。 いくらラブでも避けられはしない。 狙撃手が殺られたと判断した水戸。 そこからは撃てぬ様に、ラブを盾にしていた。 「ザルハバール・ミゲル・トルヘフ」 平然とした声でラブが呟く。 「ほぅ…私のフルネームを覚えていてくれるのは光栄だが、もう終わりだ。まさかこんなに簡単に罠にはまるとはな」 特殊メイクのパーツと、カツラを外した。 「銀行マン橋詰和馬(はしづめかずま)の次は自衛隊とは…。勘違いするな、ハメたのはお前じゃなく、私の方だ」 「何だと?」 ミゲルが、本物の顔で目を細めた。
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