【2】崩壊の地へ

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〜沖縄県平和創造の森公園〜 戦争で失われた緑を取り戻し、平和への思いを新たにする場として造られた、総面積22haの公園。 園内には数多くの樹木が植えられ、色々な施設や広場があり、東シナ海と太平洋を一望できるロケーションも美しい。 その海を眺めている2人。 「一夜明けても、まだ信じられないわ」 「だよな。あのラブさんが、いきなり現れて、リクルート活動だなんて💦」 「健司と俊幸は、残念ね」 「親は賛成してても、一人息子だからな。夢ばかり追いかけてる訳にはいかないだろう。子の気持ち親知らずってな」 「それ逆でしょ。まぁ…でもそうよね。2人共優しいから、放っては置けないでしょうね。彼女もいるし💧」 「美優は、私達次第だって」 「美優の三線は欲しいけど、プレッシャーだな…。彼女の将来まで、引っ張って行くってことだし」 「私は、晋ちゃんについていくからね」 「多香子まで僕に乗っかるのか?重過ぎる💦」 「誰がよ❗️全く💧。…ねぇ晋ちゃん。本当はもう決めてるんでしょ?一緒に行こ、東京へ」 「やっぱりバレてたか。多香子は昔から何でも見抜くからな〜そうだと思ってた」 「この景色も、見納めね…」 海を見つめて、呟く多香子。 その悲し気な瞳に気付く晋也。 「今生(こんじょう)の別れじゃあるまいし、そんな悲しいこと言うなよ。また帰って来ればいいさ。沖縄(ここ)は変わらずに、いつでも迎えてくれるさ」 多香子の手を取って引き寄せ、抱きしめた。 驚くことなく、晋也を抱きしめる多香子。 「一緒に、世界を守ろう」 「うん…きっとそれが、私達の使命だから」 多香子の頬を涙が流れた。 その想いを知る晋也の腕に力が入る。 「苦しいよ…晋ちゃん」 「1人で苦しまなくてもいい。僕がいる」 彼のその想いは分かっていた。 愛していることを。 「ち…違うって。力強過ぎなの!」 「えっ…あっ!ごめん…つい💦」 慌てて放す晋也。 その手を握りとめる多香子。 「明日…行こう。東京へ❗️」 「よし!じゃあまずはと…」 片手でスマホを取り出し、電話をかける。 「トシ、僕だ。今夜6時に集めるから」 「分かった。…って、また俺ん家かよ💦」 既に通話は切れていた。 「こら、切るな!お〜い…」 俊幸のリアクションは想像できた2人。 気にせず、健司と美優に電話する晋也。 その横で、多香子はLINEを送信した。 『明日、行きます』…と、ラブへ。 こうして、運命は新たな局面へと動き始めた。 その大きな意味を、世界はまだ知らない。 トーイ・ラブ、彼女以外は…
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