通り過ぎない通り雨

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「男の人が男の人を好きなのって、男色って言うんでしょ?」 清音が言ってきたので、セロは麦茶を噴き出しそうになった。 「おまえは、いつの時代の話しをしてるんだ!」 「祖母が経営している古書店で、そういう本を読みました」 「それは昔の言い方だ」 「へえ?」 「へえじゃねえよ」 「ねえセロ、祖母の店に一緒にいきませんか?」 「そこは遠いのか?」 「歩いていける距離だけど、ちょっと遠いです」 「なら、行くときは付き添ってやるよ」 セロはどこまでも優しかった。
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