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まるで清音とセロを置き去りにするかのように。
夏が過ぎていく。
花火大会や、近所の神社での夏祭りでは、両親だけが出かける。
人ごみの多さには酔ってしまうし、はしゃぐと熱を出すからだ。
それでも、土産にと屋台で売っている水風船を買ってもらって
清音は喜んでいた。
スイカを、ひと口サイズに切り分けて食べるのと、素麺なら
他の食事より食べやすいことが、清音のささやかな夏だった。
清音の部屋が一階にあるのは、階段の昇り降りを苦にさせない
為でもあり、トイレから近い為でもある。
そしてベッドがベランダの窓に面して置かれてあるのは、せめて
外の景色を寝ながらでも見れる為であり、庭に咲く季節の花々を
眺める為だった。
清音には、庭のヒマワリを見れることだけが、夏の楽しみなのだ。
『僕は女でも男でも平気じゃないですよ』
清音が以前に言った言葉を、セロは理解し始めていた。
性行為は身体の弱い清音には大きな負担になってしまう。
ロマンのない具体的な言い方をすれば『激しい運動』になる。
今後、互いが情に流されることはあるかもしれない。
それでも清音を抱くのは無理だと、セロは受け入れていた。
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