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「やあ! ボク、宇宙人」
開いた口がふさがらなかった。
家に帰ったら、知らない人がいた。
少年のようにもみえる。
たぶん男の子だろう。
服は、着ているのか、着ていないのかわからない。
とりあえず僕はそいつを無視して冷蔵庫に向かった。
野菜を入れるためだ。
「へー、おいしそうだねー。なに? トマト、と、キュウリ、と、ナス。
あ、ピーマンもあるね」
野菜庫に詰める僕をそいつは覗いていた。
「なに? これ。オレンジのピーマン?」
パプリカだと僕は答えた。
赤い色のもあるよと、付け加えもした。
「へー、面白いね、やっぱり地球って」
「で、なに?」
野菜を冷蔵庫にしまったあとに、椅子に座って訊いてみた。
いつも使うパソコンデスクの椅子。
「だから、ボク、宇宙人なんだってば」
少年は頑なに自己紹介をしていた。
どこそこの星からやってきて、どうのこうの、という話らしかった。
「お茶でも飲む?」
いちおう来客なので薦めてみた。
少年は目をきょろきょろしたあとに、お茶を断った。
「だって、ボク、宇宙人だから、お茶なんて、飲めないんだよ。
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