朝夕

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 その、ぱ、ぷ、りか? パプリカだって、食べられないんだよ」 「へー」 「う、うん。そう。宇宙人だから、食べられない」 「宇宙人だから食べられないなんて理屈は通らないよ。食べ物を食べない生物もいるかもしれないし、ただ単に、地球上のものが自分たちが食べるものとは違うから食べられないのかもしれない。  それを、ひとまとめにして”宇宙人だから食べられない”なんていうのは間違っている気がするんだけど」  僕がそういうと、少年は困っていた。  え、とか、あ、とかいいながらきょろきょろしだした。 「あ、あのね」 「なに?」 「それよりもなんで、ボクを不信がらないの? 勝手に家に入ったんだよ。普通だったら、ほら、ケーサツ? とか、いうんじゃないのかな。不法侵入なんだよ。なんでそこを突っ込まないの?」 「いや、だってあんた宇宙人なんでしょ。じゃあ、しょうがないじゃん」  小さな音がすると思ったら、雨が降ってきているようだった。  パラパラと、音が重なって、大きくなっていく。  あ、洗濯物、取り込まなきゃ。 「ちょっと待ってて、洗濯物、取り込んでくるから」  少年はおとなしく頷いた。
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