あなたを想って

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 目を覚ましていつも通りカーテンを開けると洗面所に向かう。  さっと顔を洗って髪も簡単に結ぶと洗濯機をかけて次はキッチンへ。  お米をかして、味噌汁に焼き鮭、だし巻き卵、納豆、たくあん、ほうれん草のごま和え。  ある程度揃えると、新聞を取りに行って広告は抜いてからダイニングテーブルに置いた。  洗濯物を干して、グッと伸びをしながら空を見上げる。  真っ青な空は洗濯物もよく乾かしてくれそうで今日も1日が始まったのだと実感した。  中に戻って時計を見てから湯呑みと箸を並べると、 「ご飯よー!みんな起きてー!!」  階段下で声をかける。  それでも物音一つしないことにため息を吐きながら2階へ向かった。 「正人(まさと)ー!結芽(ゆめ)ー!学校遅れるでしょ?」  子供たちの部屋のドアを開けてから旦那の寝室のドアにも手をかける。  開いても静かな寝室。 「自分で起きてと何度言えば……」  ため息を吐きながら部屋に入って閉じられている遮光カーテンを開けた。  明るくなった室内に空気も入れ換えようと窓も少し開ける。 「ほら、会社遅刻し……」  振り返った私はそのまま言葉を失った。  そこに寝ているはずの旦那は居なくて、あるのは整えられたままの綺麗なベッドのみ。  布団は乱れていることもなく、ドクンと心臓が音を立てるのを服の上から押さえてそっと捲ってみてもやはりそこには誰も居なかった。
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