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にこにこ笑っている小学生らしき女の子と柔和な笑みを浮かべてご飯とお味噌汁を並べる40代くらいのスーツ姿の男性。
「え?」
「お母さん、こっち」
戸惑う私を慣れたようにリビングのソファーまで手を引いて結芽が座らせてくれた。
意味がわからなくて振り返ろうとした私の両手を結芽はしっかり握る。
「お母さん、わかる?」
よく見るとそんな結芽もとても高校生には見えない。30代後半くらいだろうか。
「え……?」
混乱するばかりでよくわからない。
「あそこに居るのは私の旦那さんの幸哉さんと娘の里穂、小学生4年生」
「旦那さん……娘……?」
ゆっくり頷く結芽はダイニングの方に目をやって、私もそろりとそっちを見る。
「ご飯にしましょう?」
「おばーちゃん!食べよっ!お腹空いたー!」
おばちゃんと呼ばれることに違和感しかないが、結芽に手を引かれて立ち上がった。
いつもの私の席に座ると、結芽はいつも通り私の横へ。
だが、私の正面の旦那の席にはその男性が、その横の正人の席には女の子が座っていた。
「お母さん?大丈夫ですか?」
湯呑みを置きながら聞かれて戸惑いながら顔を上げる。
「……幸哉さん……と、里穂ちゃん……」
「うん!じゃあ、手を合わせてー!いっただっきまーす!」
呟くと、里穂ちゃんが元気よく挨拶をして戸惑うまま私もとりあえず手を合わせた。
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