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先日紀枝から話を聞き、それとなく「愛のこども園」について調べておいた。そこからほど近い場所に、日の出製薬の研究施設があることも掴んでいる。
そして、万が一何かあったときのために、と研究施設の内部についても見立てをつけていた。暗殺者としてどこかに侵入する際には必要なことだ。
もう辞めたんだけどなぁ。まあ、誰も殺さなければいいだろう。
そう自分に言い聞かせ、研究施設に向かうアカマ。警備員もいるし、まだ研究員らしい者達も残っていた。通気口などを利用し、巧みに忍び込んでいく。
数分後、拉致されている紀枝を見つけた。
治験室らしき場所のベットに横たえられている。眠っていた。いや、眠らされている、といったらいいのか?
幸い呼吸や脈拍も正常で、深い眠りについているだけだ。強い睡眠薬を使われたのだろう。
眠った状態のままで救い出そうと考えた。配電盤を破壊し、研究所全体を停電にする。予備電源が作動するとしてもタイムラグがある。それを利用して、紀枝をコンテナに入れ台車に乗せて、外へ運び出す。彼女を拉致した荒事専門の連中がどこにいるかわからない。迅速に行動する必要がある。
所内が突然の停電で慌てている間に、近くの公園まで進んだ。まわりは林なので目立たない。
だが……。
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