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考え事をしていて、前から来た男に肩がぶつかってしまった。
「すいません」と謝り、通り過ぎようとする。しかし……。
「ちょっと待てよ、おっさん」
剣呑な声が聞こえた。3人連れだった。ぶつかってしまった男がこちらを睨み、その後ろで残り2人がぎらついた目をしている。
あちゃあ、なんでこんな馬鹿にぶつかっちまうかなぁ……。
「すいませんで済んだら、警察いらねぇんだよ」
男が言った教科書通りの脅し文句に、思わず吹き出しそうになる。
「なに笑ってんだ、こいつ」
男達がズイッと身を乗り出してくる。
「いや、ごめん、悪かった。かっこいいよ、お兄さん達。だからもう勘弁して」
「ふざけてんのか、こいつ? ちょっと痛めつけてやろうか?」
こんな絵に描いたようなチンピラ、いるもんなんだなぁ……。
「ケガすんのがイヤなら、財布とかカード出しな」
めんどくせえなぁ、あと3人くらい殺っちゃってもいいかなぁ?
(以前の)仕事前の癖で右手首を回しながら考えるアカマ。だがすぐに、いかんいかん、と首を振る。
すると、男達の後方に、こちらへ向かってくる人影を見つけた。
ピッチリとしたライダースーツを身につけている、美しいプロポーションの女性。セミロングの髪が風になびき、その美貌が見え隠れする。
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