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チンピラ達もアカマの視線を追って振り返る。そして、息を呑んだ。
「な、なんだ? すげえ美人じゃん」
アカマのことなど頭の中から消えたようだ。美女に歩み寄っていく。
やめとけ……。
そう声をかけたかったが、どうせ止めても無駄だろう。
「お姉さん、俺らと遊ばない?」
「楽しませてやるぜ、その体ごと」
へらへら笑いながら声をかけるチンピラ達。
だが美女は、そんな連中など微塵も気にせずアカマを目指してくる。
「ちょっと、こっち来なよ」
1人が美女の肩に手をかけ……ようとしたができなかった。
サッと素早く身を翻すと、美女は流れるような動きでチンピラ達の合間を縫って進む。途中、彼らの首筋へ手刀を繰り出した。うっとうしいなぁ、とでもいうような表情をチラリと見せながら。
瞬時に崩れ落ちるチンピラ達。皆気を失っている。的確に頸動脈を打たれたのだ。
「み、みごとだな、エリカ……」
ため息まじりに言うアカマ。
「久しぶり、アカマさん。ちょっと訊きたい事があるんだけど、いい?」
いい? と確認しながらも有無を言わせぬ目つきだった。
「な、なんだよ?」
「トムに聞いたんだけど、なんで私に、自分を殺すように依頼したの?」
エリカの目つきが更に鋭くなる。
その迫力に後退るアカマ。空を仰ぐと、月が苦笑しているように見えた。
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