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戸惑っていたアカマに、すみません、と若い女性が声をかける。
聞くと、少女の名前は愛奈。5歳だ。児童養護施設で暮らしている。そして、若い女性はその施設の職員で、愛奈の担当でもある紀枝。
愛奈はアカマに抱きつくと、またしても「お父さん」と呼ぶ。アカマは戸惑った末に、優しく肩を抱くようにしながら自分から離した。
「あのね、愛奈ちゃん。おじさんは、君のお父さんじゃないと思うけど?」
しかし、愛奈は何度も首を振る。紀枝もジッとアカマを見ている。怪訝な表情になって2人を見返すと、紀枝が説明してくれた。
愛奈は母子家庭だったが、母が病気で亡くなったために「青葉児童ホーム」に入居することになった。彼女が持ってきた荷物の中に、一枚の写真があった。母と数年前に事故死したとされる父が並んで立つものだ。その父が、アカマにそっくりだという。
おそらく他人のそら似だろう、と言ってその場を後にしようとした。だが、あまりにも愛奈が寂しそうな表情をするので、今度改めて会いに行く、と約束した。
数日後、ホームを訪れた。赤間晋輔という、フリーライターとして活動する際の名前を受付で告げる。
中まで行くと、またしても愛奈が駆けよってきた。愛らしく感じたが、自分は暗殺者で、子供と接する資格はないとあらためて思う。
そこで、件の写真を見せてもらい驚愕した。
「他人のそら似じゃ済まなかった、っていうこと?」
エリカが初めて質問してきた。
「ああ、実はな……」と言って更に説明を続けるアカマ。
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