プロローグ

1/1
309人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

プロローグ

「――――……(あおい)……?」  帰り道、家まであと少しという、歩道沿いの桜の樹。その下にあるベンチ。  人が座ってる事に気付いて、何気なく視線を向けて。  桜の樹を見上げている存在が、信じられなくて。  オレは、立ち止まった。 「――――……あ」  ふとオレに気付いて、こちらを向いて、立ち上がる。 「久しぶり、大和(やまと)」  嬉しそうに笑うのは――――……間違うはずがない。  吉野 葵(よしの あおい)だ。  声を掛けられても、笑顔を目に映しても、信じられなくて、少しの間見つめ合ったまま動けずにいると。  風が吹いて、桜の花びらが、散って、舞った。  ――――……綺麗な、光景を、ただ見つめる。 d7445432-3dc2-4bad-bfd0-c73bdb2d39a7
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!