[nowhere else to go…]

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『”森永くん”』 「誰ですの。それ」  私たちが忘れている仲間だよ。と私はスマホで会話の履歴を探しながら答えを出した。突然眠った私を凛は膝枕をしてくれていて、頭のあたりが温かい。  メッセージアプリで検索するワードは”好き”。確かに合っているかどうかはピンと来ないけれど、履歴に残っているだけでも354,687回の”好き”のメッセージ履歴の相手をぼんやりとしか覚えていない方が異常だ。 [今日も大好きですよ、乙華さん。側に居てくれてありがとうございます]  恋人でもないのに、側にいることを許したわけでもないのに、彼はいつだって私の側にいた。 『探しに行こう。嫌だけど』  メッセージをスクロールするだけで軽く嫌悪感がする。会話の履歴から“僕の居場所は即ち速切さんの居場所ですから”と無理やりインストールされたらしいGPS情報の共有アプリは森永君のスマホの場所を指し示していた。
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