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「遅かったですね。忘れられたかと思いました」
『森永くん…….』
森永くんは公園で今回の騒動の原因らしい白い巨大な何かを倒していて、その上にゴロゴロとしていた。大きなトトロを白くしたようなモフモフは確かに寝転がると気持ちがよさそうだ。
「2人が助けに来てくれないから、壊しちゃったじゃないですか」
「あら、私、猫を被った仲間がいたことを今初めて思い出しましたわ」
「猫被ってるのって後藤嶋さん自分のことなんじゃないですかー?」
「一生忘れたままで良かったような気がしますわ」
凛も私も森永君のことをはっきりと思い出していた。彼が殺されなくて良かったと思う。私は森永君の手を取る。触りたくもなかった手だ。
「い、乙華さん!?」
『君のことが本当に気持ち悪くて嫌い。だけど、居なくなってほしいとは思わない』
「......え。その言葉、僕が喜ぶと思って言ってるんですか?」
『ううん。でも、本当のことだから』
私は実体があって死んで居ないことが確認できたので、手を離す。森永くんは私に触られたところを大事に撫でていて、そういうところも気持ち悪いと思った。
「僕、乙華さんのそういう歯に絹着せない感じ、好きですよ」
「あなた、乙華が何やっても乙華のことを好きっていうから嫌われてるんですわよ」
凛は手早くSPに連絡して巨大な怪獣の後始末を依頼した。
「今回も一件落着ですわ」
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