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「いつ姉、今日は一人なんだ」
家に帰ると弟の乙樹(いつき)が先に帰っていたらしい。一つ下の乙樹は中学生ぐらいから反抗期だったけれど、高校に入ってからは仲がいい。姉の私が乙華(いつか)で弟が乙樹というのだから、両親の植物が好きがよくわかる。
『そうだよ。あれ、私いつも凛とは一緒に帰ってないよ』
「そりゃそうでしょ。凛さん、良いとこのお嬢様なんでしょ」
そう言ったのち、手洗いうがいを済ませた私の手に乙樹は思わぬプレゼントを渡してきた。ライトピンクと白の可愛い縞模様の入った小さな手提げ袋が揺れる。金色の刺繍の中にはポップなリンゴのイラストが描かれていた。
「じゃーん、りんご飴専門店の特製りんご飴!」
『えっ、これ食べてみたかったやつ!』
「いっつも飴なめてるからたまにはこういうのもさ。バイトの初給料ってやつ」
『ありがと』
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