「本の虫」の答え

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 その求人情報を目にしたのは、本当に偶然だった。  チラシには、「本の虫、募集してます! 仕事内容は本を読むだけ! 希望者は以下の場所に──」と、簡潔な仕事内容と住所が書かれている。  僕は自他ともに認める「本の虫」である。  現に今、求人情報を見ているのも本を読むのに夢中になって、会社の会議に遅刻してクビになったからだ。そして付き合っていた彼女からも「私と本、どっちが大切なの!?」とテンプレートのような質問をされ、「本!」と即答した僕は強烈なビンタを一発もらい、あえなく破局。  職に加え恋人を失おうが、僕の本への熱意は消えることはなかった。しかし金がなければ生きていくことも、そもそも大好きな本を買うこともできない。  僕は早速、指定された場所に向かった。
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