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モテ男、塩田
日が沈み、あたりが暗くなったころ。
天井にぶらさがったライトが、屋内にあるテニスコートをてらしていた。
かまぼこ型の建物のなかでは、ネットで間仕切りされたコートが3つある。そのなかでは、ボールを打つ音がひっきりなしに聞こえてくる。
右のコートから順に、初心者コース、中級者コース、上級者コースとわかれていて、一番左にあるコートは、プロをめざす上級者コースのメンバーが練習をしていた。コーチがくり出すボールを、順番にラケットの網の中心にあてて、ノーバウンドで打ち返す技で打ち返していく。
そのなかでも、ひときわ綺麗なフォームで打ち返してくる男子の姿があった。
塩田翔、15歳、中3。
色素のうすい白い肌に、金に近い明るい茶髪。ぱっちり二重でまつげが長い、さわやか王子さまフェイスが魅力の男子だ。このテニスクラブでは、しらない人はいないと言われるほどの有名なモテ男である。いつも芸能人なみに人だかりをつくり、その中心にいる。人から注目されなれている男子だ。今日もまた、コートの外には人だかりができていて、ネットをはさんで、アツい声援が送られていた。
基礎連習がおわり、10分休憩になったとき、塩田はおなじ上級者コースの佐竹に声をかけられた。
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