帰り道にて

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帰り道にて

「あーっ、負けたー!」 佐竹がラケット片手に、のびをしていう。 塩田、西宮、佐竹は、西宮をまん中にして、校門にむかって歩いていた。 「佐竹ェ、助けてくれてありがとう! あのままだと塩田と合流できなかった!」 鼻息あらく西宮がいう。 「まあ、俺はギャラリーのさばき方、スクールでなれたからな」 「テニススクールでも、ギャラリーができてるのか! 塩田ァ! 恐ろしい男だ!」 両手をほおにあて、塩田をみる西宮。 「やっぱ塩田レベルになると、学校でもギャラリーができるのか」 佐竹のといに、西宮が答える。 「そうだぞう! 整理券がないと話しちゃダメなんだからな!」 佐竹はあぜんとしながら塩田をみた。 「整理券!」 「あ、あの。ローカルルールだから! 俺もしらなかったし……」 顔の前で手で壁をつくって、塩田が弁解した。 「整理券かー。佐藤のファンクラブが貢ぎ物選定して、まとめて佐藤に渡すのとにてるな」 塩田は感心した。 「佐藤のファンって、そこまで統率とれてるんだ。すごいな、芸能人なみだね!」 佐竹と西宮は、塩田をみながら声をハモらせてつっこんだ。 「お前もな!」 「えっ、俺はそんなにすごくないよ」 ははっと笑う塩田。そんな塩田の後ろには長い列ができている。 佐竹が後ろの列をみて、あきれた。 「うしろ、大名行列できてるじゃん。 家、特定されないように気をつけて帰ろよ」 「えっ?」 うしろをふりむく塩田。 「うわっ! なんだこの列!」 佐竹が塩田の肩に手を回し、顔を近づけた。 「お前、時々ぬけてるよな。ここは俺がどうにかひきとめておくから、門でたらダッシュで走れ、西宮と一緒に。」 「え。佐竹、大丈夫?」 目をぱちくりしてきく塩田に、佐竹は親指をたてる。 「まかせとけ。じゃあ、またスクールでな」 校門前まできた3人。佐竹は塩田の背中を強くたたき、その後ろからついてこようとしていたギャラリーに一人たちはだかった。 「佐竹、サンキュー!」 塩田は西宮の手をとり、その場からかけだす。塩田と西宮は、そのまま近場にある公園へとむかう。 公園につくと、気を失っていた塩田ファンが復活していた。いろいろと質問ぜめにされた塩田は、なんとかそれをさばききる。その後は塩田に迷惑がかからないように現地解散になった。
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