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コート内では、田辺が孤軍奮闘していた。
相手が打ったボールを、そのまま返すか、真逆に返すか、ギリギリまでわからない状態での試合。相手がミスする場面も多く、結果6-4で田辺が勝った。
「たーなべー!」
スタンド席に戻ってきた田辺に抱きつくようにして出迎える西宮。田辺は少し嫌そうに眉間にシワを寄せる。
「わー! 勝利おめでとう!」
西宮が正面から抱きついているので、磯山ツインズは田辺を挟むように、背中に向かってタックルした。
「!?」
驚く田辺。
それを見た宮前が、慌てて三人を田辺から引き剥がした。
「三人とも! 田辺くんは試合で疲れてるんです! おもちゃにしないでください!」
こくこく頷く田辺。
「すまん! つい胸が一杯になってな!」
と西宮。
「ごめんなさーい」と頭を下げる磯山ツインズ。その頭をじょりじょりと撫でる田辺。満足そうだ。
そんなとき、審判のコールが聞こえる。
「これからシングルス2の試合を始めます。出場選手はコートにあつまってください」
それを聞き、塩田がスタンド席からコートへと向かう。佐竹、西宮、田辺、磯山ツインズ、赤星らと、軽く片手でタッチをしながらスタンド席を出る塩田。
因縁の試合が始まる。
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