シングルス2

4/19

16人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
ボールパーソンからボールをふたつもらうと、塩田が再びサーブを打った。 今度はコートを左右に分ける縦のライン(センターサービスライン)に沿うように、ボールが落ち、地面をバウンドして、あっという間に佐藤が立っているコートの縦の長さを決める奥のライン(ベースライン)まで到達した。それに反応して、佐藤が斜め(クロス)に打ち返し、塩田が立っているコートの縦の長さを決める奥のライン(ベースライン)沿いの角へと返す。 しばらく、斜め(クロス)での打ち合いが続く。先にしびれを切らしたのは塩田だった。徐々に前へ出ていき、ネット際につくと、ボレーで佐藤の球を打ち返していく。 佐藤はそれに対して、コートの縦の長さを決める奥のライン(ベースライン)から数歩下がった位置でパワーにものを言わせ、重い球(速球)を塩田に返していく。 だんだんと腕がしびれてきた塩田は、握力が弱くなり、ついにラケットごと弾かれてしまう。 審判がコールした。 「40-30!」 それを聞いて、スタンド席ではハラハラしながら佐竹が塩田の背中を見ていた。我慢ならずにその場で立ち上がり、激を飛ばす。 「あーもう。ゴリラ並みの速球を、ボレーで打ち返すなんて無茶して、みてられないな! 行き急ぐと負けるぞ、塩田! 自分のペースを保たないと!」 佐竹の激に、塩田は片手をあげて答えた。 確かに焦って勝ちに行ってた節がある。自覚がある分、塩田は深く深呼吸をして、気持ちを静めた。 塩田がサーブ位置につき、向かいのコートででラケットを構えている佐藤を見た。 ボールを軽く地面について、集中力を高め、ボールを真上にあげる佐藤。 ボールはサーブが打てる範囲内の外角側(ワイド)にバウンドし、横に流れるようにコートの外へと離れていく。 それを追う佐藤を横目で確認し、コートの真ん中で塩田は構える。 佐藤は斜め(クロス)に返し、コートを左右に分ける縦のライン(センターサービスライン)にボールが弾む。 塩田はそれを佐藤がいる反対側に|縦のライン方向に角度をつけてノーバウンドで打ち返す(アングルボレー)を打った。 佐藤はそれに対応できず、塩田にポイントが入る。審判がコールする。 「40-40! 先に2ポイント先取した方が勝ち(デュース)!」
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加