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コーチの声が、建物内にひびいた。
「じゃあ今から、1対1で4ポイント先取した方が勝ち、2ポイント差ルールはなしでやるぞ。まずは塩田、佐竹とやれ!
ほかのメンバーはコートの外で試合の見学。
とんでくるボールに気をつけろよ!」
それを聞いたギャラリーがわいた。
「よりにもよって塩田が相手かよ。勝てるわけねぇじゃん!」
不満を口にする佐竹に、コーチが激をとばす。
「佐竹、気合いがたりんぞ!
そんなんだから、地区予選敗退なんて結果、だすんだぞ。気合い入れてけ!」
佐竹は肩をおとしながらもラケットトスをしに塩田のもとへ行った。ラケットヘッドを地面につけ、コマのように回す。倒れたラケットの持ち手にあるロゴの正逆をあてた方が、コートを選ぶか、サーブ権をとるかを決められるのだ。結果、サーブ権は佐竹がとり、コートはギャラリーがいる方に塩田が行った。試合をしないほかのメンバーはコートから出て、両端にわかれるように立っている。
「よーし、準備はいいか? 自陣のコートを自己申告で判定する方法でいくぞ」
コーチはボールをのせたカートを、コートの外に移動させた。カートには買い物かごがつんであり、そこにはボールが入っている。
「ボール渡すぞ~!」
コーチはその中から2つ、ボールを選んで、佐竹に向かって打った。佐竹はひょいひょいとラケットでボールをすくいあげ、ひとつをズボンのポケットに入れる。そしてもうひとつは手にとり、床に何回かバウンドさせて、ボールを手でつかんだ。
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