シングルス2

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それを聞き、スタンド席で試合を見ていた監督の眉間に、シワがよる。 「ここにきて、先に2ポイント先取した方が勝ち(デュース)か……。思った以上に、佐藤のエンジンがかかるのが早かったね。塩田、踏ん張りどころだよ!」 監督の激を受け、片手をあげる塩田。その瞳は佐藤を見据えている。 ボールパーソンからボールをふたつもらうと、塩田は一方をポケットにいれ、もう一方をポンポンと地面にバウンドさせる。数回バウンドさせたあと、ボールを真上へと投げ、サーブを打つ。 ボールはあっという間に相手コートのサーブが打てる範囲(サービスコート)内をバウンドし、佐藤が立っているコートの縦の長さを決める奥のライン(ベースライン)へと到達する。佐藤がそのボールを打ち損じ、ネットにボールをぶつけた。 審判がコールする。 「A(アドバンテージ)-40!」 塩田に1ポイントが入り、あと1ポイントを取れば2ゲーム先取することになる。 スタンド席から黄色い声援と共に、西宮が叫ぶ声が塩田の耳に入った。 「しぃおたぁ! あと1ポイントとって2ゲーム目も勝ち取って逃げ切るんだぞォ!」 磯山ツインズもそれに続き、声をハモらせながらそれに続く。 「あと1ポイント! あと1ポイント! 頑張れー!」 磯山ツインズの声のあとに、佐竹の声が聞こえる。 「いけー! 塩田ーっ!」 それと同時に、塩田がサーブを打った。
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