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それを聞き、スタンド席で試合を見ていた監督の眉間に、シワがよる。
「ここにきて、先に2ポイント先取した方が勝ちか……。思った以上に、佐藤のエンジンがかかるのが早かったね。塩田、踏ん張りどころだよ!」
監督の激を受け、片手をあげる塩田。その瞳は佐藤を見据えている。
ボールパーソンからボールをふたつもらうと、塩田は一方をポケットにいれ、もう一方をポンポンと地面にバウンドさせる。数回バウンドさせたあと、ボールを真上へと投げ、サーブを打つ。
ボールはあっという間に相手コートのサーブが打てる範囲内をバウンドし、佐藤が立っているコートの縦の長さを決める奥のラインへと到達する。佐藤がそのボールを打ち損じ、ネットにボールをぶつけた。
審判がコールする。
「A-40!」
塩田に1ポイントが入り、あと1ポイントを取れば2ゲーム先取することになる。
スタンド席から黄色い声援と共に、西宮が叫ぶ声が塩田の耳に入った。
「しぃおたぁ! あと1ポイントとって2ゲーム目も勝ち取って逃げ切るんだぞォ!」
磯山ツインズもそれに続き、声をハモらせながらそれに続く。
「あと1ポイント! あと1ポイント!
頑張れー!」
磯山ツインズの声のあとに、佐竹の声が聞こえる。
「いけー! 塩田ーっ!」
それと同時に、塩田がサーブを打った。
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