シングルス2

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一方、恋仲中のスタンド席では。 「まずいよ、まずいよー! ここに来て追い上げられてる!」 と、磯山小太郎が言う。 「まずいよ、まずいよー! あと1ポイントが遠いよ!」 と、これは磯山小次郎。 そんな磯山ツインズに向かって、西宮が言った。 「少し落ち着け、磯山ツインズ! あと1ポイント、たった1ポイントなんだから、大丈夫だ!」 「ほんとに~?」 磯山ツインズの声がハモる。 「本当だ。塩田ぁ! 俺はいつまでもお前のことを信じているぞぉ!」 西宮はコートに向かって叫んだ。 そんな西宮を無視して、監督が磯山ツインズに言った。 「まあ、ここまで来たら、勝つしかないさ。塩田が勝負強いタイプなら、勝てるよ! 声だして応援しな!」 磯山ツインズの声がハモった。 「はーい! がんばれー! 塩田くーん!」 「でも実際のところ、ギリギリの勝負をしてますよね。赤星くん、いざというときはよろしくお願いしますね」 と、宮前が先程戻ってきた赤星に言った。 「任せとけ! 今日は調子がいいんだ! 塩田が負けても、俺が勝つ!」 ヤル気満々の赤星に、佐竹がつっこんだ。 「なんで負け前提で話してるんだよ! 塩田がまだ優勢だろ。応援しようぜ!」 「お前はほんっとうに塩田が好きだな!」 赤星が皮肉一杯で返すと、佐竹は少し照れたように頬をかいた。 「塩田は俺の目標なんだよ、言わせんな、恥ずかしい!」 赤星がげんなりしてつっこむ。 「男のツンデレとか需要がねーよ! 気持ち悪い!」 「気持ち悪くて悪かったな!」 赤星を睨み付ける佐竹。 そんな二人の間に入って、監督がストップをかける。 「ほらほら、喧嘩しない! ゲームは進んでるんだよ、しっかり応援しな!」 「そうだぞう、応援しよう! 喧嘩をしても勝てないからな!」 と、西宮。 渋々佐竹と赤星がコートへと目を向けた。
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