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一方、恋仲中のスタンド席では。
「まずいよ、まずいよー!
ここに来て追い上げられてる!」
と、磯山小太郎が言う。
「まずいよ、まずいよー!
あと1ポイントが遠いよ!」
と、これは磯山小次郎。
そんな磯山ツインズに向かって、西宮が言った。
「少し落ち着け、磯山ツインズ!
あと1ポイント、たった1ポイントなんだから、大丈夫だ!」
「ほんとに~?」
磯山ツインズの声がハモる。
「本当だ。塩田ぁ! 俺はいつまでもお前のことを信じているぞぉ!」
西宮はコートに向かって叫んだ。
そんな西宮を無視して、監督が磯山ツインズに言った。
「まあ、ここまで来たら、勝つしかないさ。塩田が勝負強いタイプなら、勝てるよ!
声だして応援しな!」
磯山ツインズの声がハモった。
「はーい! がんばれー! 塩田くーん!」
「でも実際のところ、ギリギリの勝負をしてますよね。赤星くん、いざというときはよろしくお願いしますね」
と、宮前が先程戻ってきた赤星に言った。
「任せとけ! 今日は調子がいいんだ!
塩田が負けても、俺が勝つ!」
ヤル気満々の赤星に、佐竹がつっこんだ。
「なんで負け前提で話してるんだよ! 塩田がまだ優勢だろ。応援しようぜ!」
「お前はほんっとうに塩田が好きだな!」
赤星が皮肉一杯で返すと、佐竹は少し照れたように頬をかいた。
「塩田は俺の目標なんだよ、言わせんな、恥ずかしい!」
赤星がげんなりしてつっこむ。
「男のツンデレとか需要がねーよ!
気持ち悪い!」
「気持ち悪くて悪かったな!」
赤星を睨み付ける佐竹。
そんな二人の間に入って、監督がストップをかける。
「ほらほら、喧嘩しない!
ゲームは進んでるんだよ、しっかり応援しな!」
「そうだぞう、応援しよう! 喧嘩をしても勝てないからな!」
と、西宮。
渋々佐竹と赤星がコートへと目を向けた。
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