シングルス2

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ゲームが終わったあと、佐藤と塩田は握手をするためにネット際によった。 「久々に負けた! 次は負けねぇからな」 佐藤がネットを越えて手を差し出した。 「次やっても、俺が勝つから」 爽やかに笑いながら、その手を掴む塩田。 「言ってろ!」 ぐっと握った手に力を入れる佐藤。 しかし、塩田は抵抗せず、ふにゃりとされるがままだ。 「握力がもう限界。3ゲームマッチだったら負けてたかも」 少し困ったように笑う塩田に、佐藤は内心きゅんとした。 「またしようぜ。塩田相手だと目一杯やれるから、練習にもなるし」 フッと笑う佐藤につられて笑う塩田。 「いいよ。あと忘れてるようだけど、プロに転向する件、考えといてよね」 「げっ、覚えてたのか。」 佐藤の顔が歪む。 「忘れるわけないじゃん。考えといてね。そしたら練習にも付き合うよ?」 ウインクする塩田に、向かい合っていた王子中の佐藤ファンクラブの面々が倒れた。様式美である。 こうして、塩田の長い1日が終わった。
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