学校でもモテる塩田

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学校でもモテる塩田

塩田のモテっぷりは、中学校でも健在だ。 休み時間になると、塩田を一目見ようと、学年問わず廊下に人が集まってくる。彼の一挙一動をも見逃さないように、固唾を飲んで見守っているのだ。 もちろん、教室でも塩田を中心にして人だかりができ、皆、我先にと話しかけてくる。塩田はそれらにテンポよく返事をしていくが、内心、卓球のラリーのような会話でしんどいなと思っていた。 もっとゆっくり、マイペースに休み時間を過ごしたかったが、周りがそれを許さない。机に積もる貢ぎ物の数々と、質問の嵐。勝手にケンカを始めるギャラリー。そのケンカの仲裁に入る先生には睨まれ、内心、塩田は疲れていた。 一人でいい。自分と対等に話ができる人と出会いたい! これは塩田の切実な悩みでもあった。 勉強も運動も人並み以上にできる美形の塩田は、本人が対等のつもりで接していても、なぜか相手が勝手に自分を下げ、へりくだってしまう。 誰も塩田に勝てない。それを良しとしない相手からはケンカを売られ、勝負して勝つのが常だった。しかもその後、厚い友情などは芽生えず、なぜか相手が舎弟になってしまうという悪循環に陥っている。 どうにかしなければと思ってはや15年。いまだに友人らしい友人がいない塩田である。
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