浅葱色

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浅葱色

「ごめん」  私は告白を受け入れなかった。青春の風が止んだ。 「ちゃんと教えて欲しい、あの事件のこと」  親友を殺した私のいじめは、許してはいけない。感情を押し殺し、湊に尋ねた。   「杏奈を殺したの、あなたなの?」  湊は空を仰ぎ、息を大きく吸った。 「羽衣の心を殺した奴らだろ。俺も、杏奈を殺した」  私は体が震えた。  私の好きだった人は、人を殺した。 「杏奈も、羽衣のいじめに参加していた。杏奈を慕っていた友人が誤解をしていじめをした。俺は杏奈と付き合っていたから。俺と羽衣が近寄っていたことが間違いだったかもしれない」 「それで、杏奈が自殺したの?」 「ああ、多分な」  湊は後悔したような顔をしていた。あの踏切の音が、脳内に流れる。    好きな人に怒りを覚えるのは気持ちいいものではなかった。 「俺は、この罪を一生背負うよ」  湊は真剣な顔で言った。その眼差しが、あの踏切を渡った少女のような目をしていた。  私は、辺りには水ばかりで、なにも見えなくなる海を泳ぐ。  湊はあの海で話した4日後、電車が通る踏切を渡り杏奈のもとへ行った。酷い日差しが出た、青春時代を思い出すような日だった。  鯨は、壮大な海のずっと深くまで潜り続けた。
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