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生徒会室でみずほ先輩と向き合う白石の表情はひどく恨めしそうに見えた。
血走った目は怒りを含んでいる。まるでみずほ先輩に敵意を抱いているかのようだ。
「なんで私が呼ばれたんですか」
「そういうってことは、察しはついてるんじゃないかな」
「……私が嘘のラブレターを書いた張本人って気づいたからですよね」
「まぁ、それはそうだけど……」
みずほ先輩はため息をつき、そっと告げる。
「――どうしてそんなことをしたか、わたしの推測を話していいかしら」
「どうぞ」
「あなたは彼から、わたしに好意があることを打ち明けられ協力を頼まれた。だから接点を作るための方法として『なぞかけのラブレターを持って相談に行けばいいんじゃない』と提案した」
「なんだ、目的もわかっていたんですね。そう、あれは私の考えた作戦です。でも悪意はないですよ?」
白石はつっけんどんに返すが、みずほ先輩は受け流して続ける。
「わたしがあなたを呼んだのはね、猪俣君に加担したあなたの気持ちを知りたかったからなの。――だってあなた、ほんとうはこの謎が解かれないことを願っていたのよね。解けないことでふたたび会う口実を失わせたかった。そうよね?」
瞳を二倍にして驚く白石。それから唇を噛んでわなわなと震える。
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