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――ほんとうの、気持ち?
俺はラブレターの内容を思い出す。あの熱く狂おしいメッセージが、白石の想いそのものだというのか。でも、なぜそう言い切れるんだ?
「あの手紙のゆがみは本物の涙。――あなた、悔し涙を流しながらあの手紙を書いたのね。届かない気持ちを届けたくて」
その言葉を飲み込むと同時に白石は顔を崩して突っ伏し、わあわあと泣き出した。すべてを認めたがための嗚咽だった。
――そうだったのか。
家須先輩を見ると、背中姿のまま右手を体の横から突き出して親指を立てていた。
みずほ先輩が家須先輩に頼んだのは、あの歪みが涙かどうかの分析だったのだ。(方法はスター特典で!)
「だって……、あんなに素敵なひと、もう二度と出会えるわけないじゃない……。清川先輩だってそう思うでしょ? 告白されたら、絶対OKするでしょ?」
いやいや、それはないだろ。
でも白石はそこまで猪俣に惚れているのか。その魔法の効果を何と呼べばいいのか驚愕するばかりだ。
みずほ先輩と俺は顔を見合わせ肩をすくめた。
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