みずほたんと言うなかれ

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思えば俺とみずほ先輩の接点はその広報誌にある。 生徒会員となるやいなや強引に取材を手伝わされ、今後も付き合ってほしいと言われた。断る理由を持たなかった俺は二回返事で承諾した。「いいっすよ、俺フリー(ひまの意)だし」、と。 以来、みずほ先輩に連れ回され下僕ライフを堪能している。 「いやー、俺、サッカー部なんすけど、今度大会があるんでぜひ、取材に来て欲しいなー、なんて思ってます」 「もしかしてー年生にしてスタメンなの?」 「はい、まさにそうです!」 「レギュラー争いって激戦なのよね。すごいわ猪俣君」 「いや、それほどでもなくはないですけど、ははは」 猪俣はラブレターのことなどそっちのけでみずほ先輩と盛り上がる。 なに脱線してんだこいつは! みずほ先輩に鼻の下伸ばしやがって! いらっとして猪俣の太ももをつついたが、俺の手はあっさりとはねのけられた。 おい、俺はもう用済みってことなのか! 猪突猛進しすぎだぞお前! ようやっと無駄話が終わった。 「猪俣君、このラブレター預かっていいかしら」 「どうぞどうぞ、好きにしていいです。それで、謎が解けたらまたうかがいますので、そのときは黒澤にでも声かけてください」 猪俣はそう言って立ち上がり、ヘコヘコと挨拶をしながら上機嫌で生徒会室を出ていった。
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