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探し物
俺の家には金の斧で有名なあの女神が住み着いている。
今日も例によってお世話になっている。
「ねぇ、リモコン知らない?」
「どこからともなく下から、上から、壁から。いろいろなところから出てくる。そして探し物を見つけてくれるのだ。
「落としたのはこちらのリモコンですか、それともこちらのリモコンですか」
女神は右手にエアコンのリモコン、左手にテレビのリモコンを持っていた。
ここで大事な事は『どちらも落としていないと言う』だ。そうでないと目的のものが返ってこなくなるのだ。上手い事質問をすれば選択肢に出てくる可能性は有るがそれは低い。
それだけでは無い。この女神は少し物語より意地悪で、目的のものをどちらかに出してくるのだ。その場合の大事な事は『欲しいものを選ぶ』だ。そうでないと先ほどと同じく、目的のものが返ってこなくなる。
今、俺が欲しいのはテレビのリモコン。だからこの場合はテレビのリモコンを選択する。そうすると、他の選択肢の物、つまりエアコンのリモコンもくれるのだ。もし自分の物、欲しているもの以外を選んだ場合は何もくれない。
「テレビのリモコン」
「あなたは正直者です。どちらも授けましょう」
このようになる。以上で説明は終わりだ。どうだ分かったか?
あ、一つ言い忘れていた───」
「オッケー!じゃあ二階にいるわ。早く来いよ!」
「ここ俺の家なんだけど……あと話終わって!」
言いかけて止めた。もう二階に上って行ってしまった。
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